弓木くんはどうやらわたしが好きらしい




渡されたシュガーポットから、角砂糖をぽしゃん、ぽしゃんとカップの中に入れていく。

ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ────。




「ふーん、5つな」

「……?」

「覚えた」




カップ一杯のミルクティー。

お砂糖適量5つ、入れ終えたわたしの手元を弓木くんはじっと見つめている。


何見てるんだろ、と疑問に思いつつ両手でカップを持ち上げて、ふーふーと息を吹きかけた。




「猫舌?」

「……むう、ちょっとだけだよっ」




どーせまたばかにしてくるんだ、弓木くんのことだから。

それがなんだか悔しくて、まだぬるくなっていないミルクティーにフライングで口をつける。


案の定熱くて 「あちっ」 と思わず涙目になると。




「ばあか、何やってんだよ」

「……!」




弓木くんにマグカップを没収された。