弓木くんはどうやらわたしが好きらしい



「ジュースかコーヒーか紅茶、どれがいい?」

「ええと、紅茶かな」

「ふは、言うと思った。ミルクありだろ」



なんで筒抜けなんだろう。

腑抜けた顔で瞬きすると、弓木くんはふっと笑って、キッチンの方に向かおうとする。




「待って、わたしも手伝────っ、あだだっ」




追いかけようと立ち上がるけれど。

ずっと正座していたから、立ち上がった瞬間、びりびりと痺れが走ってへたりこんでしまった。

情けない醜態に、弓木くんはくっくっと肩を揺らす。



「淹れてくるから、大人しく待ってな」



数分としないうちに、弓木くんがマグカップを片手に戻ってくる。

湯気がふあふあ立ち上るカップを、わたしの目の前にことりと置いた。




「砂糖は自分で好きなだけ入れて」

「うん、ありがとう」