弓木くんはどうやらわたしが好きらしい


𓐍
𓏸



「できたーっ!」

「お、合ってんじゃん。計算ミスもなし」

「えへへ。すごいでしょっ?」

「すごくはないけど」

「そこは “すごい” って言ってよお!」

「ま、成長はしたんじゃん? えらいえらい」



褒めているのか褒めていないのかよくわからないラインのことを言いつつ、弓木くんはからかうように笑った。


だけど、難易度 “☆” の問題すらなにを言っているのかわからなかったわたしが “☆☆” を自力で解けるようになったのは、まぎれもなく弓木くんのおかげなので、文句は言えない。


弓木くんじゃなくて、弓木先生なのである。



手強い1問を解き終えて、んーっと伸びをすると。




「休憩するか」




ローテーブルの向かいに座っていた弓木先生……じゃない、弓木くんがふと立ち上がる。