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𓏸


それは、完全下校のチャイムに合わせて、昇降口を飛び出してすぐのこと。



「なんで……?」



ザアアアア、と突然響く音に呆然と頭上を見上げた。

まるでわたしたちが帰るのを見計らっていたようなタイミングで、バケツをひっくり返したような雨が降り始める。



「今日、降水確率0パーじゃなかったっけ」



こくり、頷いた。



ついさっきまで、あんなに綺麗な夕日が見えていたはず。

おかしいな、夕焼けが綺麗なときは雨が降らないって聞いたことがあるのに。


ああ、でも、心当たりはある。



「わたし、絶望的な雨女なの……」

「雨女?」

「そう……。保育園のときから遠足も運動会も雨ばっかりだし、いつもわたしが出かけようとするときに限って雨が降り始めるんだよね……。やけに雨雲に好かれるというか」



と、話しているうちにもどんどん雨足が強くなってくる。

弓木くんの制服のシャツが、濡れて冷たそうに肩から透けていく。