熱に浮かされた瞳に、ぼうっとする。
理性を全部捨てて、残ったのは千隼くんがだいすきだって気持ちだけ。

だから……。




「いいよ……っ、千隼くんのぜんぶ、好きにして……?」

「……はー、どこで覚えてきたんだよそのせりふ」




長いため息をついた千隼くんは、こらえるように眉をきゅっと寄せて、ちゅうっと色っぽい音を立てて、唇を離した。



「終わ、り……?」

「焦んなくていーんだよ。俺、待てる男だから」




説得力あるだろ、と千隼くんが口角を上げる。




「でも、次同じこと言ったら、今度は全部もらうけど」



余裕なく言ったあと、千隼くんの手のひらがぎこちなくわたしの頭をなでた。ぐりぐりってするそのふれかたが。


ううん、それだけじゃない。
千隼くんのすべてが、わたしはほんとうに。




「大好き、千隼くん」

「……っ、あのさあ、いい加減にしろよ」




好きで好きで仕方ない、らしい。




END