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𓏸



目立ちたくない、というか極力誰にもメイド服姿を見られたくないわたしは、すすすー……と空気のように教室にすべりこんだ、のだけど。



「このか」

「っ?!」



なぜバレる!


こんな一瞬で見つかるなんて、と振り向いた先にいたのは、正直一番見られたくなかった千隼くんで。



「みみみ、見ないで……まじまじ見ないでお願いわたしの寿命が……」



恥ずかしさで死にそう。

わたしの懇願むなしく、千隼くんは視線を頭のてっぺんからつま先までくまなくすべらせる。


それから、真顔で。




「髪、巻いたの?」

「う、うん……。みかちゃんにやってもらったの……」

「ふーん」



と、それだけ。
それ以上の反応はなく。


やっぱり似合ってないよなぁ……としょぼんとした。

うう、とりえず文化祭の間、乗り切ればいいんだから、鉄の心で頑張るしかない。