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SIDE/ 中瀬このか




「こ……これ、大丈夫ですかね」

「なーに怖気付いてんの! 似合ってるよ?」




みかちゃん様がそう言うのならば、そうなのかもしれないけれど……鏡にうつる自分の姿に違和感しかない。



時は経ち、9月末、文化祭当日。



せっかくの文化祭という大イベント、女の子はみんなヘアアレンジに気合いを入れる……のだけど、どうも不器用なわたしは早起きしてみかちゃんの力を借りていた。




「わたし、こんなのはじめて……」

「この髪の毛やわらかいし、こうやってふわふわに巻いてみるの似合うねー。我ながら完璧なプロデュースで鼻が高いわ」




頑張ってもせいぜい毛先を内巻きにすることしかしてこなかった人生、こんなお人形さんみたいにふわふわに髪の毛をセットしてもらったのははじめてで。


でもこんなの、かわいい子しか許されないやつではなかろうか……と正直ビビっている。




「なんつー顔してんのよ、大丈夫だから自信持って胸張りな! きっと弓木くんもにやけが止まらないと思うし」


「……っ、それは絶対ないっ」




千隼くんと正式にお付き合いすることになり、はじめに報告したときは「ほんとに大丈夫なの」と心配そうにしていたみかちゃんだけど、今ではすっかり千隼くんのことを認めている。



……というのも、千隼くんがほんとうにわたしを大切にしてくれているところを、日々目の当たりにするうちに、印象が変わったんだとか。