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𓐍
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よし、と気合いを入れて教室の扉を開ける。
さすがに今すぐに千隼くんに告白……なんて勇気はないけれど、頑張りたい。
だって、千隼くんが好きなんだもん。
逢見くんがつけてくれた香水は歩を進めるたびに、ふわふわ香って、背伸びの大人っぽいいい匂いは、わたしに少し自信をつけてくれた。
「千隼くん」
「どこ行ってたんだよ」
「えっと、飲みものを買いに自販機まで────」
そのとき、開いた窓から風が吹きこんで。
わたしの髪をさらっとなびかせた。
すると、千隼くんの顔色がさっと変わる。
とつぜん、固く強ばって。
「……その匂い」
「へ?」
「────あいつと何してた?」
鋭い視線を向けられる。



