「逢見くん、いつからそこに……」

「わりと数分前から。ていうか既に何回か話しかけてたんだけどー」

「うそっ、全然気づかなかった……っ」




どれだけ千隼くんのことしか見えてないの。

五感がぜんぶ、千隼くんに持っていかれている。




「で、このちゃんはそこで何してんの」

「ええと、う……あ」




千隼くんを見つめて固まってました、なんて正直に言えば、それこそ不審者である。



だけどどうあがいても、ぼろが出るような気がして。

もしかして、わたしが千隼くんのことが好きだって、傍から見たら丸わかりなんじゃあ……。


じわじわと首から熱がのぼってくる。あつい。