「え、なにっ? どうしたの?」
目を白黒させるわたしに千隼くんはかすかに笑った。
それから、なにも教えてくれないまま。
「目、閉じて」
「えっ、な……目?」
「いいから、さっさとしろよ」
頭にハテナをいくつも浮かべながら、千隼くんの命に従う。
視界をうばわれて、待つこと数秒。
いったい何が起きるの、とそわそわが最高潮まで高まったタイミングで千隼くんが口をひらく。
「いいよ、見て」
ぱち、と目を開けると、そこには。
「このか、誕生日おめでと」
「……な、なんで……っ?」
箱に入ったケーキ。
ちょうどふたり分のミニサイズのホールケーキは、飾り切りのいちごでかわいく仕上げられていて、おまけに “Happy Birthday KONOKA” ってチョコレートのプレートまで。



