弓木くんはどうやらわたしが好きらしい



「それ、美味しい?」



千隼くんがクッキーの袋を指して首を傾げる。
わたしは大きく頷いた。



「おいしいよ! とっても! 千隼くんにも食べてほしいっ」

「へー、そんなに?」


「うん。自信満々におすすめできる……と言っても、じつはこれ、逢見くんがくれたものなんだけど」

「……は」


「食べてびっくりしちゃった。逢見くんって、もしかしてお菓子に詳しいのかな。今度聞いてみようかなぁ」




何気なく口にしたことに、千隼くんがぴくりと反応した。




「逢見のこと、そんな気になる?」


「え? ええと、うーん……それなりには……? なんだか第一印象よりは、マイルドだし悪いひとじゃないってわかったし……。ああでも、今日の遅刻は逢見くんと話してたせいなの、そこはまだ許してない!」



わたしの言葉に、千隼くんは黙りこむ。