弓木くんはどうやらわたしが好きらしい



「そんなにじっと見つめられたらさすがに……」

「このかがあんまり美味しそうな顔して食べるせいで気になった」

「えっ、そんな顔してたっ?」



完全に無意識だ。



「信楽焼みたいな」



信楽って……たぬきの……?



「それって貶してる?」

「いや? 思ったまんま言っただけ」

「そっちのが問題大ありだよ!」

「なんでだよ。目、きゅるきゅるしててかわいいじゃん」




そりゃあ見方によってはかわいいかもしれない。

わたしだって、信楽焼、きらいじゃないけど……。



というか。



“信楽焼=わたし” と “信楽焼=かわいい” が千隼くんのなかで共に成り立つなら、それすなわち “わたし=かわいい” になってしまう。数学が間違っている。