「……?」

「ふはは、ここまで言っても伝わんないかー」




そう言って、逢見くんはなにやら鞄のなかをごそごそし始める。

そして。




「はい」

「え、なに、クッキー……?」

「受けとってよ」




袋に入ったクッキーの詰め合わせ。

美味しそう、だけど。




「もらって、いいの……? どうして?」

「誕生日プレゼントの代わり。たまたま俺が食べようと思って持ってたやつだけど。ていうか、こんなのしかなくてごめん」


「え、いいよ、もらえないよ! だってこれ逢見くんの……」

「いーの。それ、美味しいから。食べて感想でも聞かせてよ」




スーパーで売っているようなものじゃない。


お菓子屋さんで買うようなクッキーで、わざわざそうまでして手に入れるってことは、逢見くんはそうとうこれが好きなんじゃ……。



それをわたしにくれるなんて。

あの学食での一件以来、逢見くんはなんだか優しくて、調子が狂う。