「おはよ、このちゃん」
「おはよう逢見くん」
「今日、誕生日ってほんと? 6月9日?」
「そうなの。9日生まれだから “このか” って名づけられた説がありまして……って言っても、わたし自身もさっきまで誕生日のことなんてすっかり忘れてたんだけどねっ?」
「ふはっ、忘れてたとかこのちゃんらしくてかわいーね」
ふわふわ笑みを浮かべた逢見くんの手のひらが、わたしの頭の上にのって、さらっと撫でていく。
逢見くんはどうやらわたしの頭を撫でるのが好きらしい。
最近は、逢見くんにばったり出くわすといつもこうされる。
「ていうか、事前に知ってればちゃんと準備したのにー」
「準備?」
「プレゼント」
「えっ?! いいよそんなの!」
そこまでしてもらう義理はない。
ふるふると首を横にふると、逢見くんはくすりと笑う。
「俺は渡したかった」



