ぎょっとして声の方向を振り向くと、すらっと華奢でモデルさんみたいにかわいい女の子がつかつかとまっすぐに歩み寄ってくる。
そして、わたしと逢見くんの間に割りこんだかと思えば、バンッと派手な音を立ててテーブルを叩いた。
衝撃でお皿が跳ねて、味噌ラーメンのスープが少しこぼれる。
えええ……。
「信じらんないっ! あたしとついこの間別れたと思ったら、そうやってすぐ別の女の子に手出すの!? 気持ち悪いんだけど!」
「……ナナと別れたのは、もう1ヶ月前の話なんだけど。それも、ナナの方から」
「はあっ? どーせ、あたしと付き合ってたときも、浮気してたんでしょっ?! そういうところが嫌だったの!」
「それ、被害妄想だって」
しゅ、修羅場だ。
目の前で突如繰り広げられるそれに、わたしが首を突っ込む資格は当然ないし、そんな度胸を持ち合わせているわけもなく。
固唾をのんで見守る。
「俐央っていつもそう! なんでもテキトーで……そんなだから、誰と付き合ってもうまくいかないんだよ! 長続きしないの!」
「……」



