「うざいしむかつくんだよね、千隼のこと」
冗談なのかと思ったけれど、そうではないみたいだ。
急な告白に目を見開く。
千隼くんのことが、嫌い……?
いやまあ、ひとの好みはそれぞれだと思うし。
みんな同じひとを好きになるわけじゃないのと同じように、苦手なひとの1人や2人くらいいたって、普通のことだと思う、けれど。
だけど、逢見くんの浮かない表情は、ただ “嫌い” なわけじゃないように思えて……。
「ええと、千隼くんのことを嫌いになったのにはなにか原因が────」
あるの?
そう尋ねようとしたとき。
「俐央!」
つんざくような女の子の怒号に遮られた。



