「え……」
「“性格はわりと難ありでいじわるで、毒舌で、容赦なく正論ふりかざしてくる” だっけ? 言ってくれるじゃん」
「待っ、あれ聞いてたの!? どこからどこまで……!」
もしかして、全部……?
穴があったら入りたい。
いや、穴を掘って埋まりたい。
わなわなとふるえるわたしに弓木くんはいじわるく笑って。
「 “こうあってほしい、こういてほしい、ってそんなの理想の押しつけ” とか」
「わわわ忘れてよ! ていうかわたしも勝手にいろいろ言っちゃったし言いすぎちゃったし……」
むしゃくしゃして、ついぶつけてしまった。
あれは良くなかった。
反省会を開きたい。
うう、とうつむこうとすると、千隼くんがわたしの顎をすくって持ち上げる。
そして優しく目を細めた。
「……嬉しかったんだよ、マジで。ありもしないことをでっち上げられたり、理想を押しつけられたり、勝手に好きになって期待して、期待はずれだったら『裏切られた』って騒がれて、そんなんばっかだったから。この顔のせいで」
「今さらっと顔マウントとったよね」



