「な、なんですか」
「呼び方、戻ってる」
「は……っ!」
い、いつから。
先輩たちに囲まれて、途中から頭がパンクしそうになって…………それで無意識のうちに “弓木くん” 呼びに戻ってしまっていた。
「ペ、ペナルティですか」
サー……と青ざめる。
今日は散々だった。
まあこういうついてない日もある。
痛いのも怖いのもいやだけど、もういっそのことひとおもいにやっちゃってくれ千隼くん。
なんて受け身の姿勢をとっていると。
「別にいーよ」
「へっ? なんで?」
千隼くんらしくない。
いつも、こういうの、容赦ないじゃん。
拍子抜けしたわたしに、弓木くんはふっと口角を上げる。
「このかが言ってくれたこと、嬉しかったし」



