弓木くんはどうやらわたしが好きらしい



白昼堂々、なんてことを……!


と、うろたえるのはわたしだけで、千隼くんのどストレートな言葉を受けとった先輩たちはよほどショックなのか放心してしまった。

そして、次第に気まずそうな表情に変わり。



「っ、もう行こっマリナ!」

「そ、そうだね」



5人の先輩は手を取り合い、そそくさと立ち去っていった。


あっという間にその姿は見えなくなって、残されたのは千隼くんと、わたしと、先輩たちがまとっていた甘いバニラの香水の香りだけ。




「い、行っちゃった……」



これにて、一件落着……?

わからないけれど、千隼くんにあれだけ言われて戦意喪失してしまった彼女たちが今後なにか仕掛けてくるとは思えなかった。


こわばっていた体の力が、どっと一気に抜けて。




「……っ、わ」

「おい、大丈夫か」




へなへなと膝からその場に崩れ落ちる。

とっさに千隼くんがぎゅっと受けとめてくれた。


あれ、おかしいな、さっきまで平気だったのに……。