弓木くんはどうやらわたしが好きらしい



「っ、はあ?」



前言撤回だ。

千隼くんのとなりには彼女たちのほうがふさわしい、なんて思ったのはすべて取り消すから、なかったことにして。




「弓木ファンクラブだかなんだか知りませんけど、あなたたちには弓木くんは、渡せません……っ!」



そう口にした瞬間、妙にすっきりした。


だって、わたしの方が、千隼くんのこと。

その続きを頭のなかで思い浮かべようとしたタイミングで、サイドテール先輩が勢いよく振りかぶったこぶしが視界に入る。



「あんた調子乗るのもいい加減にしなさいよ!」




平手打ちならまだしも、グーパンはバイオレンスすぎる。

いや、ビンタもだめなんだけど。