二重人格者の初恋

「もしもし、ヒカルさん?田畑ですが、ヒロシくんが先ほど逮捕されたよ。」

「そうですか。わかりました。」

なんとなく、こうなるような気がしていた私は、自分でも驚くほど冷静だった。

「それで、あなた宛のビデオレターをヒロシくんから預かっているんだが。」
「え?」
私は今すぐ、受け取りに行くと伝え研究室に急いだ。

研究室に到着すると、田畑先生はメモリーデスクを手渡してくれた。

私は、先生にヒロシのアトリエに入りたいと頼んだが、さすがに今は警察の捜査が終わるまでは立ち入れないと断られてしまった。

できることなら、彼を感じられる場所でビデオメッセージを観たかった。

『残る場所はあそこだけか。』
私は目的地に向かって歩きだした。

急いで出てきたから気づかなかったが、今日はいつもより日差しが強かったため、私は目的地に向かう途中、少し大きめの帽子を購入した。


大きな木の下で木陰になっているところに座ると、先ほど田畑先生から預かったメモリーデスクを再生した。