気づくと俺は知らない部屋に横になっていた。
「ここは?」
辺りを見渡すと、自分の身体に数本の管が繋がれていること、ここが病院らしき場所であることが分かった。と同時に、背中を刺されたことを思い出した。
「そういえば俺は刺されたんだっけか。生きてるのか、俺は。」
動こうにも身動きが取れなかったため、大人しくしていることにした。
どれくらいの時間が経っただろうか。病室に医者と見知らぬ顔の男性二人が部屋に入って来た。
「少しお話よろしいですか?」
「あの、あなたは一体誰でしょうか?」
「え?昨日、お会いしましたよね?」
「昨日ですか?」
俺が回答に困っていると、その男性が一緒にいたもう一人の男性と話している声が聞こえてきた。
「もしかして、二重人格という話は本当なのかもしれないな。」
「え?二重人格なんて本当にあり得るんですか?あんなの小説や映画の中だけの話なんじゃないですか?」
「でも、実際に今の反応は演技とは思えなかった。」
「まぁ、確かに先輩とは初対面って感じではありましたね。」
「あの、もしかして俺が二重人格だって知っているんですか?」
俺は恐る恐る二人に声を掛けた。
「あー、一応あなたの主治医である田畑先生と昨日お話させていただきまして。それで、あなたがヒロシとサトシという二つの人格を交互に入れ替えて生活されているとお聞きしました。
ちなみに、今のあなたは?」
「今は、ヒロシです。昨日はサトシです。俺たちはなぜか1日交代で人格が入れ替わるんです。」
「なるほど。この二重人格の生活はいつころから?」
「確か、5年くらい前からかと。」
「ちなみに、二重人格生活が始まる前は?」
「それは分かりません。俺が気付いた時から二重人格だったので。確か、田畑先生も俺たちの過去は全く知らないと言っていたので、この世には誰も俺たちの過去を知る人間はいないようですが。」
二人の刑事は俺が嘘を言っているようには思えないといった表情をしていた。
すると、先輩と言われていた刑事が訪ねてきた。
「柳龍一郎という名前に心当たりはありますか?」
「柳?誰ですか?」
「あなたの名前です。よーく思い出してみてください。」
「思い出せと言われても、昔の記憶は俺にはないので。俺は、本当は柳っていうんですか?」
「はい。そして、柳龍一郎は強盗と殺人を犯した可能性がある人物です。あなたが刺されたのは、あなたが殺した人物の遺族に復讐された結果です。」
「俺が強盗?殺人?復讐されたって?」
『背中を刺された被害者だと思っていたのに、実は加害者だった?しかも、人を殺している?』
突然のことに理解が全く追いつかなかった。そんな混乱している俺に刑事は続けた。
「あなたは5年前、連続強盗事件を犯していた。そして、5件目の事件を起こした日、仲間の一人がミスを犯し、危うく捕まりそうになった。
その原因を作った仲間に腹を立てたあなたは、その仲間を殺した。
あなたが殺したその仲間には弟がいましてね。あなたはその弟に背中を刺されたというわけなんです。
どうですか?思い出してきましたか?」
「いえ、本当に何も思い出せないんです。申し訳ございません。
でも、その弟というか俺を刺した犯人は、俺の顔を見て柳だと確信したんですよね?」
「はい。何でもあなたや殺されたお兄さん、それにあなたを刺した犯人は同じ施設で育ったらしいので、見間違えるはずがないと言っていました。」
「であれば、きっと俺が犯人なのでしょう。」
「随分とあっさり認めるんですね。」
「認めるわけではありません。なぜなら、俺もサトシも身に覚えがないから。
でも、覚えていないというだけでは、明確な根拠がないし、そもそも本当の主である元人格を俺たちが知らない以上、否定することも出来ません。」
「なるほど。」
刑事たちは『また明日来ます。』と言い残し、病室を出て行こうとしたので、『ちょっと待って』と引き止めた。
「なんでしょうか?」
「一つだけお願いがあるのですが。」
「はぁ。なんでしょう?」
「先輩、犯人のお願いなんて聞いて大丈夫なんですか?」
「あぁ、大丈夫だよ、きっと。で、お願いというのは?」
「田畑先生をこの病室に呼んでもらうことは出来ますか?」
「なぜ、田畑先生をここに?」
「お別れを言うためです。」
「お別れですか。」
刑事は腕を組み、何やら考え事をしているようだった。
「良いでしょう。私から田畑先生に連絡取りましょう。」
「先輩、良いんですか?」
後輩は必死に止めようとしているようだったが、先輩刑事はその制止を無視した。
「では、また明日。」
刑事たちと医者は病室を出て行き、俺一人だけが残された。
「ここは?」
辺りを見渡すと、自分の身体に数本の管が繋がれていること、ここが病院らしき場所であることが分かった。と同時に、背中を刺されたことを思い出した。
「そういえば俺は刺されたんだっけか。生きてるのか、俺は。」
動こうにも身動きが取れなかったため、大人しくしていることにした。
どれくらいの時間が経っただろうか。病室に医者と見知らぬ顔の男性二人が部屋に入って来た。
「少しお話よろしいですか?」
「あの、あなたは一体誰でしょうか?」
「え?昨日、お会いしましたよね?」
「昨日ですか?」
俺が回答に困っていると、その男性が一緒にいたもう一人の男性と話している声が聞こえてきた。
「もしかして、二重人格という話は本当なのかもしれないな。」
「え?二重人格なんて本当にあり得るんですか?あんなの小説や映画の中だけの話なんじゃないですか?」
「でも、実際に今の反応は演技とは思えなかった。」
「まぁ、確かに先輩とは初対面って感じではありましたね。」
「あの、もしかして俺が二重人格だって知っているんですか?」
俺は恐る恐る二人に声を掛けた。
「あー、一応あなたの主治医である田畑先生と昨日お話させていただきまして。それで、あなたがヒロシとサトシという二つの人格を交互に入れ替えて生活されているとお聞きしました。
ちなみに、今のあなたは?」
「今は、ヒロシです。昨日はサトシです。俺たちはなぜか1日交代で人格が入れ替わるんです。」
「なるほど。この二重人格の生活はいつころから?」
「確か、5年くらい前からかと。」
「ちなみに、二重人格生活が始まる前は?」
「それは分かりません。俺が気付いた時から二重人格だったので。確か、田畑先生も俺たちの過去は全く知らないと言っていたので、この世には誰も俺たちの過去を知る人間はいないようですが。」
二人の刑事は俺が嘘を言っているようには思えないといった表情をしていた。
すると、先輩と言われていた刑事が訪ねてきた。
「柳龍一郎という名前に心当たりはありますか?」
「柳?誰ですか?」
「あなたの名前です。よーく思い出してみてください。」
「思い出せと言われても、昔の記憶は俺にはないので。俺は、本当は柳っていうんですか?」
「はい。そして、柳龍一郎は強盗と殺人を犯した可能性がある人物です。あなたが刺されたのは、あなたが殺した人物の遺族に復讐された結果です。」
「俺が強盗?殺人?復讐されたって?」
『背中を刺された被害者だと思っていたのに、実は加害者だった?しかも、人を殺している?』
突然のことに理解が全く追いつかなかった。そんな混乱している俺に刑事は続けた。
「あなたは5年前、連続強盗事件を犯していた。そして、5件目の事件を起こした日、仲間の一人がミスを犯し、危うく捕まりそうになった。
その原因を作った仲間に腹を立てたあなたは、その仲間を殺した。
あなたが殺したその仲間には弟がいましてね。あなたはその弟に背中を刺されたというわけなんです。
どうですか?思い出してきましたか?」
「いえ、本当に何も思い出せないんです。申し訳ございません。
でも、その弟というか俺を刺した犯人は、俺の顔を見て柳だと確信したんですよね?」
「はい。何でもあなたや殺されたお兄さん、それにあなたを刺した犯人は同じ施設で育ったらしいので、見間違えるはずがないと言っていました。」
「であれば、きっと俺が犯人なのでしょう。」
「随分とあっさり認めるんですね。」
「認めるわけではありません。なぜなら、俺もサトシも身に覚えがないから。
でも、覚えていないというだけでは、明確な根拠がないし、そもそも本当の主である元人格を俺たちが知らない以上、否定することも出来ません。」
「なるほど。」
刑事たちは『また明日来ます。』と言い残し、病室を出て行こうとしたので、『ちょっと待って』と引き止めた。
「なんでしょうか?」
「一つだけお願いがあるのですが。」
「はぁ。なんでしょう?」
「先輩、犯人のお願いなんて聞いて大丈夫なんですか?」
「あぁ、大丈夫だよ、きっと。で、お願いというのは?」
「田畑先生をこの病室に呼んでもらうことは出来ますか?」
「なぜ、田畑先生をここに?」
「お別れを言うためです。」
「お別れですか。」
刑事は腕を組み、何やら考え事をしているようだった。
「良いでしょう。私から田畑先生に連絡取りましょう。」
「先輩、良いんですか?」
後輩は必死に止めようとしているようだったが、先輩刑事はその制止を無視した。
「では、また明日。」
刑事たちと医者は病室を出て行き、俺一人だけが残された。


