午前中の検査も終わり、午後の仕事を終えた私は帰ろうと研究室を出ると無数の人だかりが校門付近にできているのが見えた。
『なにかあったのかな?』
私はなるべく人目に付かないように気配を殺して、その人だかりの隣を通ろうとした時、突然腕を掴まれた。私の腕を掴んでいる他人の腕を辿っていくと見ず知らずの人だった。
「なんですか?離してください。」
私は大きめで少し怒りに交えた声で、掴まれた腕を振りほどこうとした。
「あっ、すいません。」
その人は掴んでいた腕を離してくれた。そして、
「あの、あなたはこのアカウントの中の人ですよね?」
見せられたスマホにはヒロシのアカウントが表示されていた。
「はぁ、まぁ。」
正確には私ではないけれど、否定するのも違う気がした私は何とも言えない微妙な回答をした。
「実は私、あなたの大ファンでして。これまでも何度かあなたにDMをお送りしているんですが、その際、こちらの絵を購入させてくれないかとお願いしました。もし、まだ売っていただけるのであれば、言い値で買わせていただきます。」
その人は、欲しい絵の写真を見せてきた。
その絵は確かにアトリエで見た記憶のある絵だった。
「言い値ですか。ちょっと考えますので、ご連絡先を教えてもらっても良いですか?」
私は売って良いかの判断が付かなかったため、一旦回答を保留にした。
すると、このやりとりを見ていた他の人たちが、『私も』『俺も』と次々に購入希望の絵を伝えてきた。
こういったやりとりをしている間も、次から次へと人が集まって来た。また、この様子を撮影し誰かがSNSにアップしたことで、私の活動圏も多くの人の知るところになってしまった。
結局、全ての人の対応を終えるまでに2時間近くかかった。
一方で、この労力分を補って有り余るほどの財産を手に入れることもできそうだった。
私は家に帰ると、アトリエの中に無造作に置かれている絵の中から購入希望といただいた絵を一枚一枚探し出しては、連絡先と購入金額をメモしていった。
「言い値で買いたいっていう人も結構いるんだなー。一体、いくらまでなら払えるんだろうか?」
ここでも独り言を言いながら、購入金額を足し合わせていった結果、言い値を除いた金額だけでも3,000万円を超える値がついていた。
私は日記帳に、勝手に似顔絵を公開したことによって起こった今日の出来事と苦情、それに購入希望者への対応をお願いしておいた。
『なにかあったのかな?』
私はなるべく人目に付かないように気配を殺して、その人だかりの隣を通ろうとした時、突然腕を掴まれた。私の腕を掴んでいる他人の腕を辿っていくと見ず知らずの人だった。
「なんですか?離してください。」
私は大きめで少し怒りに交えた声で、掴まれた腕を振りほどこうとした。
「あっ、すいません。」
その人は掴んでいた腕を離してくれた。そして、
「あの、あなたはこのアカウントの中の人ですよね?」
見せられたスマホにはヒロシのアカウントが表示されていた。
「はぁ、まぁ。」
正確には私ではないけれど、否定するのも違う気がした私は何とも言えない微妙な回答をした。
「実は私、あなたの大ファンでして。これまでも何度かあなたにDMをお送りしているんですが、その際、こちらの絵を購入させてくれないかとお願いしました。もし、まだ売っていただけるのであれば、言い値で買わせていただきます。」
その人は、欲しい絵の写真を見せてきた。
その絵は確かにアトリエで見た記憶のある絵だった。
「言い値ですか。ちょっと考えますので、ご連絡先を教えてもらっても良いですか?」
私は売って良いかの判断が付かなかったため、一旦回答を保留にした。
すると、このやりとりを見ていた他の人たちが、『私も』『俺も』と次々に購入希望の絵を伝えてきた。
こういったやりとりをしている間も、次から次へと人が集まって来た。また、この様子を撮影し誰かがSNSにアップしたことで、私の活動圏も多くの人の知るところになってしまった。
結局、全ての人の対応を終えるまでに2時間近くかかった。
一方で、この労力分を補って有り余るほどの財産を手に入れることもできそうだった。
私は家に帰ると、アトリエの中に無造作に置かれている絵の中から購入希望といただいた絵を一枚一枚探し出しては、連絡先と購入金額をメモしていった。
「言い値で買いたいっていう人も結構いるんだなー。一体、いくらまでなら払えるんだろうか?」
ここでも独り言を言いながら、購入金額を足し合わせていった結果、言い値を除いた金額だけでも3,000万円を超える値がついていた。
私は日記帳に、勝手に似顔絵を公開したことによって起こった今日の出来事と苦情、それに購入希望者への対応をお願いしておいた。


