「ヒロシからの日記帳は読んだ?」
「はい、読みました。先生とヒカルさんっていう女性に二重人格者であることを打ち明けたみたいですね。反応はどうだったんですか?」
「当然といえば当然だったが、やっぱり二重人格をすんなり受け入れる人はいないね。」
「そりゃそうでしょう、先生。」
最初のやりとりを聞いている限りでは、昨日の話を初耳のように話している様子を見ていると、この人は『ヒロシさん』じゃないのかもしれないと思い始めた。
でも、今日もしかしたら私が判断しに来ているかもしれないと想像すれば、こんな演技くらいはするかもしれない。私は即断即決せずに、もう暫く様子を見ることにした。
「で、ヒカルさんは何か言っていましたか?」
「二重人格者のどちらかの人格が消えることはあるのか?などの質問をされたよ。」
「なるほど。自分の恋人の人格がある日突然、消え去るって恋人だったら一番避けたいことですからね。」
「まぁね。愛する人と別れの言葉も交わせずに、取り残されるというのは辛い記憶だけしか残らない恋愛になってしまうだけだしなぁ。」
「それに、確かヒカルさんってまだ学生だったはずなので、若い分、気持ちの整理に時間が掛かってしまうでしょうね。」
「だから、二重人格であること、ある日急にヒロシの人格が消え去る可能性があること、同じ顔したもう一人の人格であるサトシが誰かと恋に落ちた時、自分以外の女性と楽しそうに街中を歩いている可能性があることも、全て伝えたんだ。じゃないと、自分の中で納得した答えが見つけられないと思ったから。」
「ヒカルさんはどういう決断をしますかね。俺個人としては、長年連れ添ってきたヒロシには幸せになってもらいたいので別れるっていう選択はして欲しくないですが。」
「それは私だってそうだよ。あんなに楽しそうに我々以外の誰かの話をしている姿は初めてみたし、ヒロシが描いたヒカルさんの絵にも幸せが溢れていたからね。付き合っていくことは難しいことかもしれないが、頑張ってみて欲しいよ。」
『私の絵ってなに?』
ヒロシさんが私自身を描いてくれていることが非常に嬉しく、一秒でも早くその絵を見てみたくなった私はヒロシさんに電話を掛けた。
プルプルプル。
検査中にスマホが鳴った。ディスプレイにはヒカルさんと表示されていた。
「先生、噂をすれば何とやらでヒカルさんから連絡が来ました。」
「出てみれば?」
「いや、ヒロシからヒカルさんからの電話は絶対に出るなって言われているんで。」
「そうなの?そんな約束しているんだ。」
「はい。でもその約束をした時って二重人格であることを明かす前のものだから、今は電話出てもいいかもしれないですけどね。」
サトシは笑いながらも、電話に出ることはしなかった。
私はいてもたってもいられず、部屋を飛び出し、隣の部屋へと突入した。
「はい、読みました。先生とヒカルさんっていう女性に二重人格者であることを打ち明けたみたいですね。反応はどうだったんですか?」
「当然といえば当然だったが、やっぱり二重人格をすんなり受け入れる人はいないね。」
「そりゃそうでしょう、先生。」
最初のやりとりを聞いている限りでは、昨日の話を初耳のように話している様子を見ていると、この人は『ヒロシさん』じゃないのかもしれないと思い始めた。
でも、今日もしかしたら私が判断しに来ているかもしれないと想像すれば、こんな演技くらいはするかもしれない。私は即断即決せずに、もう暫く様子を見ることにした。
「で、ヒカルさんは何か言っていましたか?」
「二重人格者のどちらかの人格が消えることはあるのか?などの質問をされたよ。」
「なるほど。自分の恋人の人格がある日突然、消え去るって恋人だったら一番避けたいことですからね。」
「まぁね。愛する人と別れの言葉も交わせずに、取り残されるというのは辛い記憶だけしか残らない恋愛になってしまうだけだしなぁ。」
「それに、確かヒカルさんってまだ学生だったはずなので、若い分、気持ちの整理に時間が掛かってしまうでしょうね。」
「だから、二重人格であること、ある日急にヒロシの人格が消え去る可能性があること、同じ顔したもう一人の人格であるサトシが誰かと恋に落ちた時、自分以外の女性と楽しそうに街中を歩いている可能性があることも、全て伝えたんだ。じゃないと、自分の中で納得した答えが見つけられないと思ったから。」
「ヒカルさんはどういう決断をしますかね。俺個人としては、長年連れ添ってきたヒロシには幸せになってもらいたいので別れるっていう選択はして欲しくないですが。」
「それは私だってそうだよ。あんなに楽しそうに我々以外の誰かの話をしている姿は初めてみたし、ヒロシが描いたヒカルさんの絵にも幸せが溢れていたからね。付き合っていくことは難しいことかもしれないが、頑張ってみて欲しいよ。」
『私の絵ってなに?』
ヒロシさんが私自身を描いてくれていることが非常に嬉しく、一秒でも早くその絵を見てみたくなった私はヒロシさんに電話を掛けた。
プルプルプル。
検査中にスマホが鳴った。ディスプレイにはヒカルさんと表示されていた。
「先生、噂をすれば何とやらでヒカルさんから連絡が来ました。」
「出てみれば?」
「いや、ヒロシからヒカルさんからの電話は絶対に出るなって言われているんで。」
「そうなの?そんな約束しているんだ。」
「はい。でもその約束をした時って二重人格であることを明かす前のものだから、今は電話出てもいいかもしれないですけどね。」
サトシは笑いながらも、電話に出ることはしなかった。
私はいてもたってもいられず、部屋を飛び出し、隣の部屋へと突入した。


