ツキはふわふわしていて危なっかしいので、いつも、俺が守ってあげなきゃ!と思っていた。でも、それはちょっと過保護だったかもしれない。
「あ、そういうこと?」
だってなんだか、ツキが妙に大人びて見える。
俺の言葉に納得したように頷くけど、そのわりには小馬鹿にしたように彼女はくすくすと笑った。
「あれはフィクションでしょ、そんな迷惑なシステムないよ」
フィクション??え、まって、いま、迷惑って言った??
脳内信号がちかちかと点滅している俺にたいして、さらに追い討ちをかけるように、ツキが微笑む。
「ホシくんって、案外、夢みがちなんだね」
—————は?
王子さまに結婚を申し込まれようとしてる夢みがち乙女に、俺、なんて言われた?
がつんとハートが鈍器でぶん殴られたようなダメージをうけて、もう、なにも言葉が出てこない。
とりあえず、窓の外が晴れていたのだけを確認した。
星野誓、高校生。副業は王子。
ついでに、今夜は星が降るらしい。なるほど、そわそわするわけだ。



