新月なので、暗い夜だ

俺とツキは、手と手を繋いで
レジャーシートに寝転んでいた


けっきょく近所の河川敷
ちょっと明るいけど、まあ、仕方ない



「さむくない?」



絶え間なく、ツキが話しかけてくる



「へーき、男の子だからね」

「えー、わたしは寒いなあ」



ツキが寒いっていうの
もう、今夜だけで200回ほどきいている



「やっぱり俺もさむいかも」



だから、ぎゅって抱きついた

もこもこに着込んでいても
ぜんぶが俺よりずっと小さい


ふたりの体温が、溶けて重ねて混ざり合う