星屑も、月に尖る


そんなことを考えていると、いつの間にやら、ホシくんがわたしのすぐそばに来ていた。至近距離に立っていて、ほんの少し腰を屈めているので、顔の距離がすごく近い。


それだけでも、すっごくどきどきしちゃうのに。



「プリンセス、キスしてもいい?」



おねだりするように、上目遣いでわたしに訊ねるので、心臓がばくばくと収縮する音を立てた。


柔らかく清潔なホシくんの匂いが、ふわんと空気に馴染む。嗅ぎ慣れたはずのそれを吸い込んだだけでも、今のわたしのハートはどきどきしちゃう。

だけど、やっぱりわたしはお喋りさんだから。



「誓いのキス?」



ひとつひとつを、確認したくなる。

キスは、焦らず。恋は、焦がさず。


「ちかい?」

「そう、ずっと一緒にいますっていう誓い」


わたしが頷いて言うと、ホシくんは、それこそお星さまみたいに、きらりと笑った。


「ふふ、もちろん誓うよ」

「だれに誓うの」

「プリンセスと、星に向かって誓います」


そう宣言してふざけたように胸を張ったあと、こんどは許可もなく。


前髪越しのおでこに、ちう。
ひとつ、短いキスを落として。



「俺って、星の誓いですからね」



なにが起きたのか分からず、ぱちぱちと瞬きを繰り返しているわたしを、ホシくんは笑う。