はあ、それにしたって、待つのって退屈。こんな退屈なのに、ホシくんはいつも文句のひとつも言わないのか。わたしは、言いたくなる。ていうか後でぜったい言う。
窓の外では、みんなが楽しそうだ。
運動部の子たちが、がーがー言いながらサッカーをしている。なんて言ってるのか分からないけど、とりあえず楽しそう。いいなあ。はやく、ホシくん来ないかなあ。
まあ、しかたない。
だってほら、よく言うでしょ。良いプリンセスは、楽しんじゃいけないって。
クリスチャンが困ったときに「こんなとき、キリスト様ならどうするだろう!」と考えるみたいに、わたしは「プリンセスだったら、どうするかしら?」と考える。
そうすることで、正しいほうばっかりを選べる気がする。
だけど、プリンセスは本の中でしか会ったことがない。もちろんわたしのほうは親友だと思ってるけど、向こうがどう思ってくれてるかは分からない。
だからね、じつは、もうひとつの策がある。
それは、「ホシくんなら、どうするのかな」って考えることだ。
わたしにとってホシくんは、憧れのいちばん星。
みんなの、王子さま。
わたしだけのものには、なってくれない。
それでも、いつもすぐそばで見守ってくれている、その強い光が、わたしはすきだ。