星屑も、月に尖る




俺は、主人公だ。勇者だ。星野誓だ。

セオリー通りの、ベタなフィクションみたいな人生を歩んで、なにがわるい。




幼なじみの男女、しかもけっこう、仲がいい。
やっぱり俺たちは、結婚しないとだめなシステムが搭載されている。



だって、深月明子はプリンセス。

俺は、彼女に選ばれたとき、やっとはじめて、王子さまになれるんだ。


もう、シャーペンを置いた。
古典なんかやってる暇はない。

推量の助動詞は、もうとっくに覚えてるし。む、むず、けむ、らむ、らし、めり、まし、べし。あーさすが、俺。



そして、決意をかためた。



———ツキのほうから、俺を王子に選ばせる。



今後の方向性が定まった。そうとなったら、あとは作戦を立てるだけ。