星屑も、月に尖る



お弁当を食べてエネルギーをチャージしたので、だいぶ精神は安定してきた。とりあえず、じぶんの感情を整理できるまでになったので、体育のときより調子いい。



板書をしようと顔を向ければ、砂糖の詰まったそれがまだ揺れているのが目に入る。なんだか無性に腹が立つので、まるい後頭部にシャーペンをぶっ刺してやりたい気持ちになった。


そもそも、俺の調子がおかしいのは、朝からツキがおかしかったせいだ。


わたしのこと好き?だなんて、初めて聞かれて驚いてしまったけど、もっと、ちゃんと答えたらよかった。

でも、たっぷり時間を使って考えても、なんて答えるのが正解なのか分からない。

分からないけど、俺だけがツキのことを一方的に好きだなんて認めたくもないけど、そうまっすぐに答えたら、ツキは、王子さま探しなんてしないでくれるだろうか。



おいていかないでほしい。
ツキがさみしいのと同じように、俺だってさみしい。



だって、知らなかった。

俺とツキが、それぞれ別のだれかと結ばれる未来があるなんて。そんなの、いきなり言われても困る。



べつに、ツキといますぐ結婚したいとかじゃない。正直、高校生にはまったく結婚なんて考えられない。



だけど、いつか、ふたり前を向いて進んだ先の未来で。

俺たちが紡いできた糸は、結びつくと信じていたい。