むしろ、ツキの脳内で、恋愛が占める割合はごく僅かだ。ほら、ほとんど砂糖だし。
そんな幼なじみは、いきなり「むううう」と唸りだして。
呆然とそれをみていると、こんどはまあまあ長いツインテールをぶんぶん振り回し始めた。「やだやだやだやだ!」と喚きながら首を振る。
「ホシくんが、わたしじゃない女の子と仲良くしてるとさみしい!」
そして、あーもう、ずるい。かわいいことを言う。たまにこういうところを見せてくるから、俺はまた彼女を甘やかしてしまうのだと思う。
もう、不可抗力。
ツキはここに来る前に、俺がほかの女の子とお喋りしていたのを見ていて、それが彼女の気に障ったのだろう。
ごめん、と謝るのもちがう気がして、俺はツキの気がおさまるのを待つことにした。どうせ長くて20秒だ。ツキは集中力が無い。
ていうか、わかってる?
オマエが、王子さまを探します!なんて言い出さなければ、オマエじゃない女の子と仲良くしたりしないんだけど?
心の中で、告げる。
はやく捕まえてよ、俺のこと。
そうしたら、俺も。
ツキだけの、特別な王子さまになれるのに。



