星屑も、月に尖る


挨拶もなく、一方的に通話が切られた。


俺がよく猫に懐かれるのは、気まぐれな幼なじみのおかげかもしれない。


おそらく、ツキは間もなく着くだろう。どうにも食欲が湧かなくて、持ってきたお弁当をまだ開けてもいない。おかあさん、ごめん。

これから、ご機嫌斜めな見習いプリンセスが愚痴を発散するだけの退屈な時間がやってくるので、そこで食べながら聞けばいいか。


なんて思っていたら、予想通り、ツキはすぐにやってきた。ウサギみたいなツインテールを揺らして、怒ってるのをわざとらしくアピールする大股な歩みで。



「ホシくんなんて、ぜんぜん王子さまじゃない!!」



聞き捨てならない暴言と共に。いきなり存在を否定されたような気分だ。

ほっぺたを膨らませて、怒っているのを神様に見せつけているツキが、俺を睨みあげながら目の前の席に着いた。