そうやってある程度、こころの火山を噴火させたあと。
「え、まって、じゃあ、」
ちらり。うかがうように、目の前の女の子を見遣る。
「はい、わたしも記念告白ですね」
オマエもかよ!!!!
やっぱり、俺が告白を受け入れない噂はそこそこ流れているのかもしれない。もっと流れて、記念告白の文化もやめてほしいけど。
「でも、記念としては期待以上です」
「そうなの?」
「こんなにも星野先輩とお話しできるなんて、すごくうれしいです」
なんて、いきなり、ほんのりと頬を赤らめて。俺に告白してきた後輩の女の子、みたいなことを言う。
まあ、実際その通りなのだけども。
「かわいいところもあるんだね」
「恋する女の子はかわいくなるって、聞いたことないですか?」
「俺のおかげでかわいくなったなら、感謝してね」
ふざけたことを言った俺が自分でくすっと笑うのを見て、目の前の彼女はため息をついた。
そういう姿は後輩なのに、記憶にあるツキのため息よりもはるかに大人びて見える。
ツキは、すぐにため息をつく。
先に説明しておくと、彼女のマイ・ルールのひとつに〝運の残量システム〟がある。これは、その名の通り、〝ひとりひとりの持ち運、人生で使える運には限りがある〟という考え方によるものだ。
だから彼女は、ジャンケンやくじ引きなど、無駄な勝負をひどく嫌う。よけいなことに運を使うのがこわいらしい。
さらには、スポーツ観戦を嫌っている。応援しているチームが勝ってしまったとき、不必要に運を使ったと感じるからだ。
だから、勝敗の結果だけを、時事情報のひとつとして後ほど知るようにしているらしい。
話を戻すと、そんなツキは〝いま、わたし、運がなかったですよ〟と神様に見せつけるために、わざと大袈裟にため息を吐く。
運の残量システム。その采配は、けっきょく神様のご都合主義らしい。



