〝王子さま〟というあだ名は〝ほしの〟という苗字にかけられている。俺にぴったりなので、とても気に入っている。
「おはよ、ホシくん」
〝王子さま〟ではなくて〝ホシくん〟と呼んでくるのは、幼なじみのツキひとりだ。顔を上げると、予想は的中。ふわふわと馬鹿っぽく笑っている彼女が立っていた。
彼女の名前は、深月明子という。深月だから〝ツキ〟。星野だから〝ホシくん〟。
彼女とは、おうちがご近所さんだ。同じマンションの同じ階に住んでいる。そして学年も同じ、幼稚園から高校までずっといっしょの校舎に通っている。ことしなんて、クラスメイト。
これは、どう考えても運命だと思う。
べつにツキのことを好きとかじゃないけど、けっこうかわいいし、まあ、俺の幼なじみとして認めてあげてもいい。