だってここ、まあまあ人に見られるし。成功する自信があったのだろうか。
星野先輩は告白を受け入れたことがないって、知らないのかな。あるいは、それを知ったうえでも、まだ勝算があったのだろうか。
今日の俺はちょっとおかしい。だいぶ、おかしい。そうとはいえ、まあ、いつも通り、やさしく断ろうと口を開いたのだけど。
「すきって、どんなかんじ?」
「え?」
「どうして、俺のこと好きって思ったの?」
やっぱりめちゃくちゃおかしいので、余計なことを言ってしまった。どうやら彼女は、これを〝告白面接〟の一環だと思ったらしい。
ぴしっと背筋を伸ばして、はきはきと答え始めた。
「星野先輩の、かっこよくて、なんでもできて、みんなにやさしいところがすきです」
「それだけ?そんなので、すきって思うの?」
「憧れの王子さまなんです」
「王子さまだから、好きになってくれるの?」
「えっと、」
「ああ、ごめんね、こんな問い詰めたかったわけじゃないのよ」
いつになく厳しい口調で尋問してしまったのを申し訳なく思って、俺は首を横に振った。
申し訳ないついでに、これは、告白とは関係ない。
彼女の〝好き〟が浅いものだとしても、べつにいい。逆に、どれだけ彼女が俺のことを〝好き〟だったとしても、俺にはまったく響かない。



