そして、お昼休みになった。

男子は教室で着替えるのだけど、複雑に混ざり合う制汗剤の匂いは食欲が失せるので、俺は素早く着替えてテラス席に行った。

テラス席は東校舎3階の屋外にあって、花木がいくつも植えられている。空と植物に囲まれているなかにテーブルと椅子があって、きもちいい場所だ。


まあ、季節によっては虫がいたりするけど。現実って、そーいうもの。


でも、教室から逃げ出す場所としては最適だ。

今日みたいに晴れている日は他にも利用者がいるけれど、俺は、ひとりでいるより誰かに見られてるほうが安心するタイプなので問題ない。



「星野先輩、すきです、つきあってください」



うん、だからって。これは、ちょっとしんどいかもしれない。

テラス席にひとりで座って缶のコーラを飲んでいた俺に、女の子が告白してきた。同じ委員会に所属している、顔見知り程度の子。


マジか、という感想しか出てこない。 ときめきに麻痺しているらしく、こういうのも、ほぼ無感情に近い。