わざと、ちょっとだけ声量を上げて話を進めることにした。
「だって、ツキの王子さまだよ?そこらへんの男では、なれません」
「ほんと、ホシチカってメイちゃん好きだよね」
「せめて俺よりは王子さまでないと、ツキの相手には認められない」
「無茶言うなって、オマエはだいぶ王子度数たかいんだから」
お世辞かもしれない吉原の言葉だけど、もちろん俺はしっかり真心で受け止める。それによって、HPがじわりと回復した。
自分の王子度数を噛み締めるように、ゆっくり深く頷いて。
「そうだよね、俺もそう思う」
そう、俺って、王子度数たかいのよ。
勉強も運動もできるし、かっこいいし、やさしい。お星さまに近い男なんだよ。ホシチカだもん。
ほらね、わかる?
俺以上の王子さまって、そうそう現れないわけよ。
「だからさ、俺で良くね?って思うわけよ」
こぼれ落ちるように、吐き出された本音。すこしだけ、震えた声。
それを聞いた吉原は、「あ、そーいうことね」と笑ってみせた。



