俺の話が下手なのだろうか。仕方ないので、そのまま話を進めることにした。
「幼なじみなのに、俺と結婚するとは限らないって言うんだよ」
「あーうん、うん?!」
「俺、男女の幼なじみは結ばれる運命だと思ってたから、びっくりしちゃって、」
「ちょっ、おい、まてまてまてまて」
スムーズに進んでいた会話に、いきなり、吉原ストップがかけられた。
言われた通り、首を傾げて待つことにする。
ホシチカァ〜と悩ましげに俺を呼ぶ吉原に、「なに?」とつめたく返せば、彼はまた深くため息を吐いた。
そしてこんどは、彼が喋り出す。
「いろいろツッコミどころはあるのよ、いくつもね」
「ん」
「でも、とりあえず先に聞くわ」
一呼吸おいた吉原は、俺の右肩にぽんっと手を乗せて。
確認をとるように、一語一句しっかりと、たずねてきた。
「ホシチカって、メイちゃんと結婚したかったんだ?」
————はあ??????
シューズの擦れる音。ボールが弾む音。かけ声。体育館に重なる雑音が、耳の遠くで流れていく。
あれ?なんだかこんなの、さっきもあったな。
俺だけが、いきなり止まった時間に取り残されてしまったみたいな気分で、思考回路も停止して。



