ステージに立っていたのは、私の知っている人ばかりだった。

「小さな恋の歌。」

秋元先輩がそう言うと曲が始まる。

『秋元先輩って、歌上手かったんだ…。』

びっくりする楓を横目に、私は信じられない人物を目にする。

…あれ、ギター弾いてるのって蓮?

これだけだったら良いが、ドラムもキーボードも部活でよく見る2年生だった。

極め付きは、

『あれ?ベース弾いてるのって…』

そう。一ノ瀬先輩だ…。

このメンツでバンドなんてやれば女子たちが騒ぐに決まっている。


唖然としていると、いつのまにか一曲目が終わっていた。

「皆さんこんにちは、秋元です!今回、有志でバンドを組まさせていただきました。」

みんなのアイドル、秋元先輩が話し始めると一部の女子から歓声が起こる。

「ありがとう。一曲目でだいぶ緊張が解けました。」

歓声にもしっかり応える先輩は優しいなと思った。

さすが3大イケメンを代表する先輩だ、とつくづく感じる。

『秋元先輩、隙がないわ…。』

雪ちゃんをうならせてしまうとは…。

「と言うことで、次の曲行きます。」


先輩の凄さに感心していると、ふとベースを弾いていた一ノ瀬先輩と目が合った。

その瞬間、先輩はニコっと微笑んだ。

「次の曲は、」

少し照れるように、すぐ目を逸らされる。

「青と夏。」

しかし、一瞬にして一ノ瀬先輩は真剣な眼差しになった。


…試合の時のように。