『うわー、めっちゃ怖かったぁ!』

『私を先に行かせても変わらなかったでしょ?』

『ごめんよー雪。』

『楓だから許す。そういや乃蒼は?』

『え、着いてるんじゃないの?』

ラインッ

『…あー、もう部活の露店の仕事に行ったっぽいわ。』

雪ちゃんが言った。

『そのLINE、乃蒼から?』

『ううん。一ノ瀬先輩から。』

2人がそんな会話をしている時も、私はまだお化け屋敷の中にいた。

「しー、大声出しちゃダメだよ?」

耳元で言われる。っ、この声はもしかして…。

『せ、先輩っ。なんでここにいるんですか…?』

「言ってなかったっけ?ここのお化け屋敷は俺のクラスの店だよ。」

『先輩、2-2だったんですね。全然知らなかったです。』

ふわっとシトラスの香りが広がる。

「そういえばさっき逃げたでしょ?…やっと捕まえた。」

急に背中から温もりを感じる。

『え…せ、先輩!??』

「しー。静かに。」

『…先輩、なんでこんなことしてるんですか?』

「んー、お化け役って1人でやらなきゃだから寂しいんだよね。」

『そうなんですか…。』

「そんなときにうさぎさんが通ったら、捕まえたくなるでしょ?」

『うさぎって誰ですか?』

「うさぎみたいな子いるでしょ?」

え、そんな人いたっけ…。全然思い出せない。

「俺の目の前にいるじゃん。」

……ん?

『私のことですか!?』

「そ。ということでうさぎさん、俺のシフトが終わるまで一緒にいてね?」

というわけで、20分間ずっとこのままでした。先輩、心臓が持ちません…。