「そういえば乃蒼ちゃん、」

『はい?』

急に一ノ瀬先輩が話しかけてきた。

「クイズ大会の時のあれは何だったのかな?」

『あれ……??』

なんかしたっけ?全然思い当たることがないんだけど…。

「今日、一緒に帰るんだよね?」


…あ。先輩にいじわるしちゃったやつだ。

『そ、そうでしたっけ?覚えてないなぁ。』

「そっか。」

先輩も案外、諦めが早くてよかった。そう思ってると、

「まぁ、一緒に帰ろ。ね、蓮?どうせ今日は俺と一緒に帰らないだろ?」

「お、おう。」

『え、そうなの?』

「うん。今日は違う人と一緒に帰る。」

『そっか。お幸せにねー。』

「…うん?なんで乃蒼知ってんだ?」

やばっ、言っちゃった…。

『あ、呼ばれてるから行かなきゃ。じゃーね!』

「おい乃蒼!」

そのまま逃走に成功し、サッカーを見て沸いている楓と雪ちゃんの2人と合流した。


みんながサッカーの試合に出ていた秋元先輩で目を潤した後、次の競技が始まった。

『誰が出るんだろ?』

楓がつぶやく。

『鈴木先輩とか出るんじゃないかな?』

雪ちゃんがそう言った。

『…一ノ瀬先輩出ないのかな?』

え?楓、今なんて…?

『顔に出てるよ乃蒼。』

『わ、私?いや、そんなこと思ってないってー。』

誤魔化してみたが隠しきれてなかったらしい。

『乃蒼はほんとにわかりやすいんだから。』

うーん、正直出てても出てなくてもどっちでもいいなぁ。どうせ私には関係ないし。

パンッ

借り物競争のスタートを知らせるピストルの音が、グラウンドに響き渡った。