蒼生side

乃蒼ちゃんと入学式の話をしていると、乃蒼ちゃんの足首に巻かれているミサンガが目に入った。

…なんか見たことあるな。

なんとなく俺が持ってるやつに似てる…。


そう思って思わず乃蒼ちゃんに聞いていた。

『あ、これ、昔から着けてるんですよ。ミサンガ作りにハマってた時にたくさん作ったんですよ。』

「へー、いつハマってたの?」

『小3とか小4ぐらいの時ですかね?その頃はおばあちゃんから聞いた運命の赤い糸の話が大好きで、赤い糸使ってたんです。』

その頃の友達にあげてたなー、なんて呑気に呟いている彼女を横目に、あの子が話してくれた話を思い出す。

確か…、

「昔、人の小指に巻かれている赤い糸が見える男の人がいて、みたいな…話?」

『そうです!先輩よく知ってますね。』

乃蒼ちゃんは嬉しそうにしている。

「昔教えてくれた子がいるんだ…。」

『そうなんですか?私以外にもいたんですね。』

……なんだこの違和感。

話していると、蓮と徳島が帰ってきた。

『ごめーん、遅くなりました。』

「ずいぶん時間かかったけど、どうした?」

徳島にそう聞くと、蓮の方を見ながらニヤニヤしている。

『いやー、ちょっと盛り上がっちゃってさー!』

「おい、早くやるぞ…。」

蓮の反応を見る限り、この子ほんとに馬鹿だからよろしくね、ぐらいのことを目の前で母親に言われたのだろう。


でも、そこから時間が経っても、乃蒼ちゃんが話していた内容が気になって仕方がなかった。