「……じゃなくてっ……今日は練習、手伝ってくれないの?」

先輩が耳を真っ赤にして、目を逸らしてそう言った。

多分私の心臓は先輩以上にバクバクしてる。…なんなら先輩に聞こえてるかもしれない。

さっきの行動といい今の発言といい…。先輩のせいで私の心臓が持ちません。

『手伝えます、よ?』

一応答えてみる。

「ほんとに?何かやりたいことがあって学校早くきたんじゃないの?」

『いや、今日の仕事は先輩におにぎりを渡すことだけなので…。』

って私何言ってるの??!!

自分で言うとなんだか意識してしまって、改めて恥ずかしくなってしまい下を向く。

「じゃあ、今日も手伝ってよ。」

『…大丈夫ですよ。』

私の心臓は大丈夫ではないけどね。

練習が終わると先輩がおにぎりを食べながら話しかけてきた。

「ねーねー、乃蒼ちゃん。」

『はい、どうしました?』

私もおにぎりを食べながら返事をする。

「もし、良ければなんだけど、明日からも練習手伝ってほしいんだ。乃蒼ちゃんが手伝ってくれるとできる練習の幅が広がるし。」

『それなら蓮に私から言っておきましょうか?私なんかよりずっと上手いし…。本番の練習にも⋯』

「いや、朝練は内緒にしててさ。言いずらいんだよね。」

やっぱり、みんなには言ってないのか…。

『まさか、知ってるの私だけですか?』

「うん、乃蒼ちゃんと俺だけの秘密。」