「いや、それは全然関係ないかな。」


…こいつ、ほんとに勘が鋭い。

視線だけで、乃蒼ちゃんを見てるってわかるなんてな。


蓮と話をしていると徳島が話しかけてきた。

『鈴木、一ノ瀬、ちょっといい?鈴木さん、見なかった?ちょっとお願いしたいことがあるんだけど、さっきから見当たらなくて。』

「あれ、一緒じゃなかったのかよ。てっきり、一緒にタイマー取りに行ったのかと思ってた。」

『今さっき、先生に呼ばれてたの。…もしかしてタイマー取り行ったかな?』

「え、倉庫の方に向かってった気がするけど。」

蓮がそういうと徳島が焦り出した。

『嘘、昨日卓球部が活動してて、タイマー奥の方にあるのよ。多分1人じゃ取り出すの無理…。』

「マジか、じゃあおれ行くわ。」

蓮がそういうと、徳島が『だめ、あんたには用事があるの。』と言った。

「じゃあ、俺行ってくるわ。」

俺は2人の返事を聞く前に、あの子のいる倉庫に向かって走った。


…俺ってほんと馬鹿だ。何も知らずにあんなこと言って。


急いで行くと卓球台を動かしているあの子が見えた。

いた…。


そう思った時だった。

棚の上からバドミントンのネットが入っている箱が、あの子の上に落ちかけているのを見た。

危ないっ。


そう思う前に体が勝手に動いていた。