「~~、〜〜。」

「ーーー。」

誰かが話す声が聞こえ、うっすらと目を開ける。目の前には保健室の白い天井が見える。

あれ?ここどこ…?

まだ意識がはっきりとしない中、ゆっくりと上体を起こす。

とりあえず何が起きて今に至るのかを整理する。

あぁ、私、トイレに着くまでに倒れちゃって、誰かに助けられたんだっけ。

うわぁ、恥ずかしい…。

話し声が途切れドアがガラガラと開いてまた閉まる音がしたあと、足音がこちらに向かってくる。

さっ、とカーテンが開かれ白衣を着た保健室の先生らしき女性が顔を覗かせた。

『体調はどう?気持ち悪かったりする?』

優しく聞かれる。

『は、はい。大丈夫です。』

さっきよりは大分落ち着いてきている。

あの人のおかげかな。

『そろそろ入学式始まるらしいけど、どうする?このままベッドで寝ててもいいけど。』

『あ、入学式は出たいので、出ます。』

みんなに迷惑をかけたくないからなんて口が割けても言えない…。

『まあ、止めはしないけど…。じゃあ、早めに教室行った方がいいね、もっかい点呼とるらしいから。』

『あ、ありがとうございます!』

保健室を出て1-1の教室に向かう。

みんな静かに待ってるのかと思いきや、席を立って話したり、廊下で騒いでいたりしていて驚いた。

そんな人混みの中から楓が私を見つけて声をあげた。

『あ、乃蒼!やっと帰ってきた〜。すんごい心配したんだから!』

『ホントに大丈夫なの?倒れそうだったじゃない…。』


楓と雪ちゃんに詰め寄られてしまった。