川は近くにあるので、先輩と話しているとすぐに着いてしまった。

早く手持ち花火をするため、急いで水を汲む。

「乃蒼ちゃん、あんまり急がなくても…」

『いや、2人を待たすわけにはいかないので。』

「そっかぁ。」

そんな会話をしている間に、水を汲み終えた。

『よしっ!先輩、行きましょう』

と言いかけた時、足を滑らせてバランスを崩す。

『わっ!』

やばい…、水の中に落ちるっ!


そう思って目をつぶった。


………ん?

「…大丈夫?」

『え、先輩!?』

目を開けると、私の体は先輩の上に倒れ込んでいた。

『な、なんで…』

先輩曰く、足を怪我してるのに水の入った重いバケツをもっているから、絶対に何かやらかすだろうと思ったらしい。

しかも足に力が入らないのなら、なおさらバランスを崩して転ぶだろうと。

「乃蒼ちゃんは怪我ない?」

そう言う先輩は、手を何かで切っていた。

私を受け止める時に固い石か何かで切ったのだろう。

『先輩、手…。』

「このくらい大丈夫だよ?乃蒼ちゃんに怪我なくてよかった。」

『すみません、迷惑かけちゃって…』

「いや、俺が助けたいと思っただけだから。全然迷惑とかじゃないよ。」

そう笑いかける先輩の手当てをしてから家に帰ろうとする。

「バケツ持つよ?」

『大丈夫ですよ、自分で持てます。』

「その靴じゃバランスまた崩して転ぶでしょ。」

そう言って強引にバケツをもってくれる。

『あ、ありがとうございます…。』

サンダル履き替えてくればよかったなぁ…。