ずっと黙り込んでる私を気遣いながら瀬野先生が話をしていたが、私はほとんど聞いていなかった。

飲み物も飲み終わって、さて帰ろうって言われているが、、私はそこから動くことをしたくなった。

だって、そしたら、もうこの時間が終わってしまうから。

そう思うと、私の目から涙からこぼれ落ちてきた。

なみ「やだ、、、」

瀬野先生「泣かない泣かない…苦しくなっちゃうから、ね?また行こう!ね?」

全く動こうとしない私を、瀬野先生が軽々抱えてカフェを去ろうとしたその時。

ドクン、、、と心臓が悲鳴を上げた....
その瞬間私は意識をなくした。。。

瀬野先生「すみません!救急車呼んでください!!」


目が覚めるとそこは病院だった。

ちょうど看護師さんが、点滴の確認に来ていた。私はまた入院になってしまったイライラから、点滴の針を抜いて、点滴の台を倒した。その時に何かにあたり、私の腕からは血が出ていた。

看護師さん「なみちゃん??大丈夫??ちょっと落ち着こうか、、、ね?」

なみ「やだ。帰る!!離して!!」

かなり大きな音がしたせいで、他の看護師さんたちも駆けつけた。
そこへ、瀬野先生も来て、私を抱きしめて宥めた。

瀬野先生「なみ!!!落ち着こうか。腕から血が出て止血しないと、、、このままだと血が止まらない。」

なみ「やだ!!離して!!」

そこへ、

怜「なみ!!!!」
 「看護師さん鎮静剤用意して」

鎮静剤を受け取ると、なんの躊躇もなく私の腕に刺してきた。

怜「なみ、処置するからちょっと寝てて」

なみ「やめて!!」
鎮静剤がきき、そのまま意識がなくなった。。。

怜「すみません。あとは、自分が片付けるので大丈夫です。縫合キットだけ持ってきてもらえますか?」
といい、看護師さんたちに部屋から出てもらった。


怜「なぁ?なんで鎮静剤打たない?私情持ち込んでんじゃねぇーよ!」

瀬野先生「ごめん。」

怜「お前そんなに、なみに惚れ込んでるわけ?」

瀬野先生「....まぁ、、、」

トントン

看護師さん「失礼します。縫合セットです。」

怜「あ、ありがとう。そこ置いておいて。」

看護師さんが去ってからまた、瀬野先生は口を開いた。

瀬野先生「ダメだな俺、、、なみを前にすると、強くは言えなくなってた。10年前俺が手術したのに、結局再手術になって、心のどこかでなみに申し訳ない気持ちでいっぱいになってた、、、。」

ため息をつきながら、瀬野先生は、右手に刺し直し、怜は、左手の傷口を縫合していた。


怜「昔のお前どこ行っちゃったわけ??あんなに治療熱心で、患者の気持ちより治すことが優先のお前がさ...」

瀬野先生「でも、俺はどんなことがあっても、なみを治したい。たとえなみに嫌われても、、、」

怜「だな。俺もそうだ。」

ピピピ、、、、

瀬野先生「はい!今行きます。」

怜「急患?行ってきていいよ。なみは俺が見てるから。」

瀬野先生「ありがとう。また後で来るから。」