この後2時間みっちり勉強は続いたが、3ページしか進まなかった。
「今日はここまで。」
小松が立ち上がった。
「先生、明日もお願いねぇ。」
「なにぃ?」
幸一がニコニコわらって小松を見た。
「明日なぁ。」
小松は手を振って教室を出ていった。
「なんで・・・小松なの?」
「あの先生、意外に良い先生だよ。」
「それはまぁ・・・。」
授業何聞いてたの?バカ?アホ?などと言いながらも、丁寧に2時間勉強を見てくれた。
外は薄暗くなっているし、残っていた1年生や2年生も帰ったようだった。
2人はしんとした校内を下駄箱へ向かって歩いた。
「なんか、誰もいない校舎って気味悪くない?」
幸一が言った。
「うん、私さ、昔聞いた怖い話思い出すんだよね。」
「聞きたくない!!怖いじゃん。」
「この学校は昔・・・。」
「やーめーてー。」
幸一が耳を塞ぎながら笑った。
下駄箱は1階にあり、3年生の詩穂と幸一の教室も1階。
すぐに下駄箱へついた。
「じゃ、僕こっちだから。」
「うん、私こっちだから。」
「じゃ、明日。」
「うん、明日。」
2人は手を振って、幸一は正門、詩穂は裏門へ向かって歩いた。