あれから、詩穂は2日学校を休んだ。
久しぶりに学校へ行くと、友達は賑やかに迎えてくれた。
放課後、美術部のある、建物に向かっていた。
この学校の美術部の先生は、なかなかスゴい先生らしい。
生徒達のいる教室棟、職員室や保健室がある職員棟、図書館はパソコンのある情報棟、家庭科や技術や商業の実習をする実習棟、体育館、講堂と別に、美術室専用の2階建ての美術棟なる建物を建ててしまったのだ。
もちろん、他の棟と同じく、雨が降っても大丈夫なように、
屋根のついた渡り廊下があった。
ただし、建物の中で一番端にあったので、移動には、少し時間がかかった。
けれど、生徒達にとっては、充実した環境で絵が描ける。
ちなみに、先生の腕がスゴいのか、口がスゴいのかはよくわからない。
頑固で、口の立つ、先生だった。
美術棟につくまでの最後の渡り廊下を渡ろうとしていた時、
「佐々木さん?」
と、後ろから声をかけられた。
詩穂は振り向いたが、相手の顔に見覚えがあるような、見覚えがないような・・・。
あるような・・・ないような・・・あるある。見覚えがある。誰だっけ・・・。
と、考えはじめ、だんだん眉間に皺がよってくる。
「佐々木さん?」
もう一度、声の主が詩穂を呼んだ。
「待って!言わないで!!今思い出すから!!えっとーー。」
「松本です。」
「あーー!!言った。え?松本!?・・・・・・分からない。」
詩穂が頭を抱えて悩む。
「えっと、僕は、幸一・・・山下幸一の友達です。」
「あっ!!!!!」
詩穂がパッと笑顔になる。
「分かった分かった!!超すっきり!」
夏樹は、どんな顔をして良いのか分からない、複雑な表情を見せた。
「で、どうしたの?」
「あの、幸一のことをよろしくお願いします。」
突然の言葉に、詩穂は、ちょっとドキッとした。
「山下君がどうしたの?」
なるべく落ち着いた声が出てますように・・・と詩穂は祈った。
幸い、夏樹の視線は下を向いていた。
「最近、幸一元気がなくて・・・幸一と付き合ってるんですよね?」
「はぁ!?」
詩穂は驚いた声をあげた。
「誰から、どこで聞いたの!?」
「え!?違うんですか?」
松本と詩穂の視線がぶつかる。