幸一は朝から頭がガンガンしていた。
1時間目の授業が終わると保健室へ行った。
「先生、少し休ませてー。」
「どうしたの?」
「頭が痛いー。」
「あら、ここ、座って。熱はかって。」
「うー。」
「3年何組だっけ?」
保健室の先生が、ボードにはさんだ紙に、幸一のクラスや名前、症状を書き込んでいく。
ピピピピッと電子音がする。
「熱はなし。」
「ちょっと休ませてー。」
幸一は勝手にベッドがいくつか置いてある奥の部屋に入っていく。
「コラッ。勝手に入らないの。」
先生の声だけが追いかけてくる。
入ってすぐのベッドには、ついたてがあって、中は見えないようになっているが、
誰かが入っているというのが、分かる。
「山下君?」
ついたての中から声が聞こえた。
中をのぞくと、佐々木さんが、だるそうに起き上がるのが見えた。